長崎のすずき矯正歯科 副院長の鈴木智貴です。
笑うと歯茎ががっつり見えてしまう。
歯茎が気になって思いっきり笑えない。
歯茎がきになって笑う時に手で口元をつい隠してしまう。
笑った時に歯茎が3mm以上見える状態を「ガミースマイル」といいます。
歯茎のお悩みは実は結構多いのですが、美容歯科や美容外科に相談に行かれる方が多いようです。
美容歯科や美容外科でカウンセリングをうけたものの、費用が高すぎて断念する人も多いのではないでしょうか?
ガミースマイルの原因はいくつかあるのですが、その多くが矯正歯科治療で治せることを知っていましたか?しかもその多くが保険で治療できるとしたら?
この記事ではガミースマイルの原因と治療方法についてお話しします。
この記事を見ればあなたのガミースマイルが保険治療で治るかわかります。
Contents
ガミースマイルの原因
ガミースマイルの原因は大きく分けると4つあります。
- 骨格が原因
- 歯並びが原因
- 歯茎が発達しすぎていることが原因
- 上唇を上げる筋肉が強すぎることが原因
上の4つがガミースマイルの原因ですが、がっつり見えるガミースマイルの場合は<1.骨格が原因>の場合が多いです。これが、今回特に知って頂きたい保険治療で治せるガミースマイル治療です。
また、<3.歯茎が発達しすぎていることが原因>は単独で原因になることはあまりなく、骨格や歯並びなど他の原因と合わさることでガミースマイルの原因になりますので、まずは矯正歯科医に相談するとよいでしょう。
ではそれぞれの原因と治療方法をくわしく説明していきます。
骨格が原因のガミースマイル
ガミースマイルの原因として最も考えられるのが骨格的な問題です。特に出っ歯でガミースマイルがある場合は骨格的な問題が原因と考えてよいでしょう。ガミースマイルの原因となる骨格は主に2つありますので順に解説します。
はじめにお話しましたが、どちらも外科矯正という矯正治療と外科手術を併用した保険適応治療で治療することができます。ガミースマイルの外科手術は美容外科や美容歯科などでかなり宣伝されているようですが、保険適応外で治療費が高額になることや、手術だけだとかみ合わなくなるため、補綴(ほてつ)処置といって差し歯にする必要がでてくるなどの問題があります。
外科矯正であれば保険適応になるだけでなく、手術前に矯正治療をしますので手術後はご自分の歯でキレイに咬むことができます。
上顎骨が縦方向に長いことが原因の場合
上顎骨が縦に長い場合は上顎全体が上唇に対して下方にありますので、ガミースマイルになります。ガミーフェイスでもっとも多い原因です。さらにこのタイプの骨格の場合、上顎骨に押されて下顎骨が後下方に回転していますので、出っ歯でかつ顎がない顔になります。この骨格タイプの特徴は3つあります。
- 出っ歯
- 下顔面(顔の下半分)が長い
- オトガイの後退感(顎がない横顔)で唇と閉じるとあごに梅干しができる
上のイラストを見て下さい。あなたがもしガミースマイルでかつこのような特徴があれば外科矯正をお勧めします。ガミースマイルが改善するだけでなく、出っ歯やオトガイの後退感が改善し、口唇が自然と閉じるようになります。歯並びも横顔も同時に大きく改善できるのです。
イラストのように長すぎる上顎骨の一部をカットして上顎骨全体を上方に移動させます。当然上顎前歯も上唇にたいして上方移動しますので、ガミースマイルが改善するわけです。さらに、上下歯列を咬み合わせるために下顎骨も移動させるのですが、イラストのように前方かつ上方に移動しますので、オトガイが前方に移動してオトガイの後退感が改善するだけでなく、下顔面も短くなりますね。このように外科矯正を選択することで悩みが全て解消します。
上顎骨が前に出ている上顎前突が原因の場合
もう一つの骨格タイプは上顎前突といって上顎骨全体が前方に突出している骨格です。上顎骨が突出していると口元がもっこりしますの上唇が閉じにくくなり、ガミーフェイスになることがあります。
上のイラストを見て下さい。このタイプの場合は上顎骨全体を後方または後上方に移動することで治療することができます。手術前に矯正治療をして手術後にキレイに咬むことができるのはどちらの手術でも同じです。
また、この上顎前突の場合は程度が軽ければ上顎小臼歯を抜歯して上顎前歯を後方移動することで矯正治療単独で治療することも可能です。外科矯正か矯正治療単独かは担当医とよく話し合ってきまましょう。
歯並びが原因のガミースマイル
この2枚の写真は同一人物のスマイルとかみ合わせの写真です。
上の写真では笑った時に歯肉がかなり見えてしまっているのですが、上の前歯が下方に垂れ下がって伸びて生えているように見えませんか?下の写真は咬んだ状態での歯の写真です。上顎前歯が下方に伸びていて下の前歯があまり見えないのがわかると思います。このように、下の前歯が見えないくらいに深い咬み合わせを「過蓋咬合(かがいこうごう)」といいます。上顎前歯が下方に伸びすぎている過蓋咬合はガミースマイルになりやすい咬み合わせです。特に上の写真のように上顎前歯が内側に倒れている場合は歯肉の見え方が大きくなってしまいます。
過蓋咬合によるガミースマイルの治療方法
過蓋咬合が原因のガミースマイルは上顎前歯が下方に伸びすぎていることが原因ですので、上の写真のように上顎前歯を歯肉の方向に動かしていくと、歯肉も同時に動くためガミースマイルが改善します。
通常の一般的な矯正治療の範囲ないで治療します。ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも治療可能です。実際には上顎前歯を骨の中に埋め込むように動かしていくため、期待できる移動量は2~3mmで、あまり大きな移動はできません。
歯茎が発達しすぎていることが原因のガミースマイル
歯茎が発達しすぎていて歯に被さっている場合もガミースマイルの原因になることがありますが、歯茎だけが原因でガミースマイルになることはほとんどありません。治療方法は下のイラストのように歯に被さっている歯肉を切除します。この歯肉切除だけですめばよいのですが、場合によっては補綴(ほてつ)処置といって歯に被せ物をする必要がでてくることがあります。その場合は歯を削る必要があるのが大きなマイナス要因です。おそらく、現状ガミースマイルの治療でもっとも多く行われている治療ですが、あまりお勧めできる治療方法ではありません。
上唇を上げる筋肉が強すぎることが原因のガミースマイル
上唇を持ち上げる上唇挙筋という筋肉があるのですが、この筋肉が強すぎると笑った時に必要以上に上唇が持ち上がりすぎてガミースマイルになることがあります。また、上唇自体が短い場合も同様にガミースマイルの原因になることがあります。
この場合は上唇粘膜切除術という手術で改善することができます。短時間の手術ですが、矯正歯科では行っておりません。当院では外科矯正で連携している形成外科を紹介しています。
ガミースマイルを自力で治せないか?
自力でなんとかならないかな?って思っている方へ!
実はちょっとなら改善できる方法があるんです。
スマイルトレーニングって知っていますか?
日本人ってスマイルが苦手ですよね?
笑った時に口角が下がって上唇がめくれ上がる人多くないですか?
アメリカのビジネスマンは毎朝スマイルの練習をしているそうです。
スマイルの基本は口角を引き上げて笑う。これです。
口角を上げ笑うことで上唇が必要以上にめくれ上がらないため歯肉の見える量が小さくなります。
がっつり見えるガミースマイルでは焼け石に水ですが、ちょっと気になる程度のガミースマイルならこれでもOKです。
スマイルトレーニングはいろいろあるのですが、今回はガミースマイル改善のためということで簡単な口角を上げる練習だけ解説します。
- 口を軽く閉じます。
- 両方の口角だけ上げていきます。難しい場合は初めは指で口角を引き上げてもOK
- この状態で5秒キープ
- これを5回繰り返す
- できるようになったら指を使わずにやる。キープする時間を長くしていく。
これだけです。初めは筋肉がピクピクしますが、そのうちできるようになります。
というわけで今回は「ガミースマイル(笑った時に歯茎ががっつり見える)は実は保険治療で治せる?」というテーマでお届けしました。